軽症鬱(軽症うつ)

軽症うつ』では、「睡眠障害、倦怠感、頭痛、食欲低下、腹痛、息苦しさ」などの身体症状が多く見られます。 精神症状で多いのは、「おっくうさ、落ち込み、抑うつ感、意欲低下」などです。 軽症のうつ病は気付きにくいものですが、放っておいたり、繰り返したりすると重症化しやすくなります。 軽症だからといって軽い病気ではありません。サインを見逃さず、早めに受診をして、適切な治療を受けましょう。


軽症鬱(うつ)

■鬱病

鬱病は検査などでは診断できないため、下図のような症状で診断します。 鬱病の診断は難しく、患者さんの話をよく聞いて症状を把握する必要があります。 例えば、鬱病は心の病気ともいわれますが、体にも不調が出ます。 そのため、食欲の低下や疲労感などの体の症状も探ります。 また、他の病気との見極めも重要です。憂鬱な気分や気持ちの落ち込みといった症状は、 アルコール依存症、認知症、甲状腺の病気、がんなどの病気でも起こります。

●重症度

鬱病への対応は重症度によって異なるため、診断後は重症度を判定します。 判定のポイントは2つあります。@診断基準の項目に当てはまる数、A日常生活(仕事や学校、家庭など)にどの程度問題が生じているかです。 実際の診断では、Aの社会的な機能がより重視されます。

鬱病の症状


■鬱病の発症の要因

鬱病が発症するメカニズムはまだよくわかっていませんが、次の2つが関係していると考えられています。

▼性格的な要因
鬱病になりやすい性格があると考えられています。「きちんとルールを守り、几帳面で真面目な性格」「自分に厳しく責任感が強い完璧主義者」 「他者との摩擦を避けて、他社に尽くすタイプ」などです。

▼環境的な要因
環境の変化が引き金になります。過労や離婚などのほか、結婚、出産、昇進といった、一般にはよいこととされる変化もストレスとなり、 発症に関わることがあります。

■「軽症鬱(軽症うつ)」とは?

身体症状が中心に現れる「鬱病」

『軽症鬱(軽症うつ)』とは、身体症状が中心に現れる「うつ病」のことです。
精神症状も現れますが、あまり目立ちません。そのため、体の病気だと思い、内科などを受診する人も多いのですが、 検査を受けても特に異常が見つからず、「軽症鬱(軽症うつ)」に気付かないまま、時間が過ぎてしまうこともあります。 さまざまな体の症状があり、何をやるのも億劫な気分が長く続くような場合は、「軽症鬱(軽症うつ)」の可能性があります。


■「軽症鬱(軽症うつ)」の症状

軽症鬱(軽症うつ)では、「睡眠障害、倦怠感、頭痛、食欲低下」などの身体症状が多く見られます。 他にも、「腹痛、息苦しさ」などさまざまな体の症状が出ることがあります。
精神症状で多いのは、「おっくうさ、落ち込み、抑うつ感、意欲低下」などです。 身体症状のほか、このような精神症状が2週間以上続く場合は、「軽症鬱(軽症うつ)」が疑われます。

●「軽症鬱(軽症うつ)」の自覚症状

軽症鬱(軽症うつ)の人は、一般に自分の身体症状について周囲の人に訴え、不安そうな様子を見せたり、 話がくどくなる傾向が見られます。しかし、自分の精神症状を訴えることはほとんどありません。 周囲からは、落ち込んでいるようには見えず、どちらかといえば明るいと受け止められています。 そのため、心の病気とは思われないことが多いようです。軽症鬱(軽症うつ)の人自身、心の奥底には 「精神症状があるとは思いたくない」「周囲の人にも精神症状があるとは思われたくない」 という思いがあり、そのため、身体的な症状を心配する傾向があるものと考えられます。


■「軽症鬱(軽症うつ)」の治療

「うつ病の治療では休養が大切」ということは広く知られていますが、これまでのガイドラインには休養に関する記述がありませんでした。 2016年に改訂されたガイドラインでは、軽症の鬱病は病状によっては少しずつできることに挑戦するなど、 ”患者さんの状態に応じて”休養を取ることが望ましいとされています。 この背景には、鬱病の治療方針が「ストレスを減らすこと」よりも「レジリエンスを刺激すること」に重きを置くようになってきたことがあります。 レジリエンスとは、誰もが持っている心の自己回復力のことで、「よくなりたい」といった患者さんの気持ちです。 治療ではこの力を刺激するようにします。

●軽症鬱では2つの治療法が柱

軽症鬱の治療では、心理教育支持的精神療法が中心になります。

▼心理教育
患者さんと家族に、鬱病について知ってもらう教育です。現在のつらい症状が鬱病によるものであることを説明し、治療を勧め、 治る病気であることを伝えます。また、これからの治療の過程を説明します。

▼支持的精神療法
医師が患者さんのつらい体験や気持ち、家族や友人にも相談できない悩みなどに耳を傾け、共感し、受け止めます。 そのうえで、複雑に絡み合った問題を一緒に考えて整理していきます。 軽症鬱は、心理教育と支持的精神療法だけである程度よくなることが多いですが、さらに薬物療法認知行動療法を併用することもあります。

●自分でできること

患者さんが自分でできることとしては、オランダでのある調査が参考になります。 それによると、前向きな態度、生活リズムを整えることなどに特に効果が認められ、 そのうえで、余力がある場合はより積極的な行動も効果的であることがわかりました。 無理は禁物ですが、医師と相談しながら、できることがあれば取り組んでみましょう。

●家族や周囲の人ができること

家族や周囲の人の対応も大切です。鬱病の患者さんは「このような状態になって周囲に申し訳ない」という気持ちが強く、 ”頑張れない自分”を責めてしまいます。そのため、「頑張れ」という励ましは逆効果です。 励まさず、受け入れることが必要です。また、家族や周囲の人が患者さんを心配しすぎるあまり、互いに疲れてしまうこともあります。 「つらいときはいつでも言ってね」という付かず離れずの態度で接するとよいでしょう。