中等症・重症の鬱病(うつ病)

中等症・重症の鬱病(うつ病)とは、仕事や家庭生活などの日常生活に著しい支障を来す場合や、 緊急性が高く、生命の危険が差し迫っているような状態を指します。 治療は、軽症うつの治療で行われる心理教育と支持的精神療法は、中等症・重症のうつ病に対しても行われます。 多くの場合、それに加えて、抗うつ薬による薬物療法が行われ、場合によっては、修正型電気痙攣療法(ECT)が行われる場合もあります。 治療は急性期、回復期、再発防止期の3つのステップに分かれ行われます。
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中等症・重症のうつ病

■中等症・重症のうつ病とは?

うつ病は、患者さんに現れている症状によって診断されます。診断基準となる症状が、5つの場合が軽症のうつ病、6〜7つの場合が中等症うつ病、 8つ以上が重症のうつ病とされています。ただし、これはあくまでも目安で、症状の数だけで重症度を判断することはできません。 仕事や家庭での機能障害の程度なども、重症度を判定するうえで重要な要素となってきます。 中等症・重症のうつ病とは、仕事や家庭生活などに著しい支障を来している状態を指します。 例えば、家族が受診を勧めても拒否する、食事や水分を摂らないといった場合です。 これらの状態は緊急性が高く、生命の危険が差し迫っているといえます。 重症度の診断には、専門の医師の判断が必要です。例えば、当てはまる症状の数は少なくても、「死にたいと思う」に当てはまる場合などは注意が必要になります。 適切な治療を受けるためにも、専門の医師による診断を受けましょう。


■中等症・重症のうつ病の治療

軽症のうつ病の治療で行われる心理教育と支持的精神療法は、中等症・重症のうつ病に対しても行われます。 多くの場合、それに加えて薬物療法が行われます。うつ病に対する薬物療法の中心となるのが抗うつ薬です。 気分や食欲に関わる神経伝達物質の働きを調整します。SSRI、SNRI、NaSSAは、比較的新しく開発された抗うつ薬です。 さらに、三環系、四環系という古くから使われてきた薬もあります。 抗不安薬睡眠薬を一時的に使用することもあります。状況によっては、気分安定薬、抗精神病薬、甲状腺ホルモン製剤 を併せて使うこともあります。
薬は、目的の治療に役立つ主作用のほかに、副作用が現れることがあります。 抗うつ薬では、口が渇く、便秘、下痢、立ちくらみ、眠気、吐き気、不整脈、尿が出にくい、体重増加、性機能障害などです。 副作用が心配になるかもしれませんが、患者さんにとって有害なものと有害でないものがあります。 例えば、不眠で困っている患者さんにとって、「眠気」という副作用は助けになり、必ずしも有害なものではありません。 薬を選ぶ際にはこのような点も考慮されます。

●薬物療法のポイント

@治療開始前の、薬に関する十分な知識
薬を飲み始める前に、主作用、副作用、使用に関する期間や量などについて、医師や薬剤師と十分に話し合い、お互いに信頼関係を構築しておくことが大切です。

A抗うつ薬を1種類選び、少量からスタート
副作用の中で患者さんにとって有害なものを「有害作用」といいます。 不快な有害作用を最小限に抑えるため、薬は基本的に1種類にし、少量から始めます。 気になる症状がある場合は、自己判断で薬の服用をやめず、医師や薬剤師に報告・相談してください。

B有害作用に注意しながら、最終的には十分な量を飲む
薬の効果や有害作用などに注意しながら薬の量を増やします。 多くの場合、薬を飲み始めて2〜3日くらいで、先に有害作用が現れますが、2〜3週間で治まります。 薬に効果が現れるまでの期間には個人差があるため、4〜8週間服用して判断します。 十分な改善がみられない場合には、抗うつ薬の種類を替えたり、他の薬を併用したりして効果を判断します。

●修正型電気痙攣療法(ECT)

左右のこめかみに電極を付け、5秒間弱い電流を流して脳に刺激を与える治療です。 症状が重く、薬物療法の効果を待てない場合、自殺の危険性が高い場合、飲食ができず体が衰弱している場合、 強い妄想がある場合などに行われることがあります。

●治療は3つのステップに分かれる

▼急性期
気分の落ち込みや不安など、つらい症状を改善していく時期です。中等症・重症では、多くの場合、薬物療法が行われます。 自殺の恐れがある場合や食事・水分をほとんど摂れない場合など、生命の危険が差し迫っている場合には、入院治療を考えます。

▼回復期
症状が落ち着き、元の生活に戻していくまでの期間です。症状が落ち着いた(寛解)あとも、抗うつ薬は急性期を乗り切った量を飲み続けます。 つらい症状が落ち着いても、ちょっとしたことでぶり返してしまうことがあるからです。毎日の生活では、生活リズムを整えていきます。 無理は禁物ですが、回復期は医師と相談しながら、徐々にできることを増やし、ゆっくり元の生活に近づけていきます。

▼再発防止期
うつ病の再発を防ぐことが目的となる期間です。抗うつ薬は、回復期に入ってからおよそ1年間は服用を続け、様子を見ます。 その後、医師と相談しながら薬の量を減らしていきます。薬をやめる時期は、患者さんの希望を聞きながら総合的に判断します。 再発しやすいのは、職場復帰が早すぎて無理をした場合や、自己判断で薬の服用をやめてしまった場合などです。 急性期に出ていたような症状がみられた場合はすぐに担当医に相談しましょう。