腰痛を徹底改善「運動療法」

・「運動療法」は、腰痛の予防、治療、再発防止に有効である。
・運動療法はできる範囲で行い、継続することが大切。
・腹筋や背筋の深部筋肉を鍛える運動が効果的。


■運動療法の効果

慢性腰痛では、深部の筋肉を鍛える運動が効果的

「腰痛診療ガイドライン」には、「3ヶ月以上続く慢性腰痛に対して、運動療法は有効である」と明記されています。 また、運動療法は、腰痛の予防や再発防止にも有効であることがわかってきています。 予防、治療、再発防止と幅広い効果が期待できるので、できる範囲内で運動療法を続けることが勧められます。 これまで腰痛に対する運動療法では、一般に漠然と腹筋や背筋を鍛える運動が行われてきました。 しかし、最近は、腹筋や背筋の中でも特に「深部筋肉(コアマッスル)」を鍛える運動が腰痛の改善に有効であることが わかってきました。ここでは、深部筋肉や背筋を鍛えるトレーニング2種と、腰痛予防に効果的な可動性と安定性を高める ストレッチング2種を紹介します。ストレッチングには、骨盤の傾斜や脊柱の配列を整える効果も期待でき、 いずれも腰の負担を軽減することにつながります。

深部筋肉の1つ「腹横筋」を鍛える「ドローイン」、深部の背筋を鍛える「ハンドニー」、背骨から股関節にかけての 前側の深部にある筋肉の1つ「腸腰筋」のストレッチング、太ももから膝にかけての後ろ側の筋肉の1つ「ハムストリングス」 のストレッチングの4つです。これらの運動が効果的であることを示す、次のような調査があります。 慢性腰痛のある人に、深部の筋肉や背筋を鍛える運動(ドローイン、ハンドニーなど)を6ヵ月間行ってもらい、 痛みにどのような変化が出たかを自己評価してもらいました。 すると、運動を始めて1か月後には「腰痛」「足・お尻の痛み」「足・お尻のしびれ」の自己評価がすべて約半分以下に軽減しています。 3か月後、6カ月後と運動を継続するに従って、症状はさらに軽減し、自己評価の点数もゼロに近づいたという結果が出ています。


●ドローイン

「ドローイン(draw in)」は、「内側に引き込む」の意味。 ここではお腹を中に引き込むようなイメージで行う。 「腹横筋」は、”自前のコルセット”とも呼ばれている。 お腹周りを引き締めるコルセットを作るような感覚で行う。

  • 仰向けに寝て、足を腰幅程度に広げ、膝を立てる。
  • 肩や胸に力を入れず、息をゆっくり吸い込み、お腹を膨らませる。
  • 息をゆっくり吐く、お腹を引き締めるようにする。
  • お腹をへこませたまま、浅く呼吸をする。

行う目安は1日10回程度で、お腹をへこませている時間は、5秒程度から始め、徐々に10秒程度、20秒程度と延ばしていくとよい。

●ハンドニー

「ハンドニー(hand knee)」は、「手と膝」の意味。四つん這いのまま、手や足を延ばす動作。

  • 両手と両膝の感覚を肩幅程度に開いて、四つん這いになる。
  • 右腕を水平に前に上げ、5秒間保つ、5秒間経ったら元の姿勢に戻る。
  • 左足を後ろに上げ、膝を延ばし、5秒間保つ。5秒間経ったら、元の姿勢に戻る。これを左右交互に行う。

行う目安は、手足を別に行う場合、同時に行う場合ともに左右行って1セットとし、1日3〜5セット程度。 慣れてきたら、片方の腕と反対側の脚を同時に上げて、5秒間保つ。 5秒間経ったら元の姿勢に戻る。腕と足の左右を替えて同様に行う。バランスを取る訓練にもよい。


■生活の質を保つために

腰痛があるからといって、体を動かさないでいると、筋肉の委縮が起きて活動性が低下したり、精神的に落ち込んだりして、 生活の質が低下しがちです。生活の質を保つためにも、ぜひ積極的に運動療法に取り組んでください。 運動を続けることによって、脳内の痛みを抑える働きが活発になって痛みが軽減するほか、”心が前向きになる”効果もある といわれています。腰痛には、ストレスなど心理的側面も関係していることが少なくないので(前ページ参照)、 ストレスを軽減するためにも運動の継続が大切です。
痛みが激しい急性期は、安静を心がけますが(2〜3日)、その後はある程度の痛みがあっても、できる範囲内でなるべく 体を動かすことが大切です。散歩やウォーキングのほか、ここで紹介した筋力トレーニングやストレッチングなどを バランスよく行うようにします。理学療法士などに適切な運動の指導を受けるとよいでしょう。 また、体調が悪かったり、運動によって痛みが激しくなったりした時は、無理をせず運動を中止してください。